五十嵐 精一 詩集 @
扉の言葉
どこでもいい、
人間の歴史から任意の千年、
あるいは二千年を取り去っても、
人間の本性に関する私たちの知識は
減りもせず増えもしない。
唯一失われるものがあるとすれば、
それはこれらの千年、二千年が生み出した
芸術作品だけである。
なぜなら、彼らが生み出した作品によってのみ、
人間というものは互いに異なっており、
さらには存在さえしているのであるから、
木の像が木を芽生えさせたように、
作品だけが、時間の経過のなかで、
人間たちのあいだに、何かがたしかに
生起したことの証となってくれるのである。
クロード・レヴィ=ストロース
『みる きく よむ 』竹内信夫訳
The Poetic Works of Seiichi Igarashi