No.76 『 星霜 』

kneedrop22012-09-12

『 星霜 』 作詩:五十嵐精一


波が去っていって
月が消えてしまって
風が迎えにくるから
 
私はただ古い町はずれの
港に来てしまう


淋しい影を連れて
私は海風が吹く
この港の町で暮らしている


この町に冬が来る前に
港にわかれを告げて
この町を離れ旅に出なくては


年月が早く過ぎてゆくから
何度も心を入れ替えて
出直そうと思っていたのに


もう冬になってしまった
私は古い町はずれの港で
今ひとり佇み 泣いている


波が去っていって
月が消えてしまって
風が迎えにくるから
                        
        1977年作品





















































The Poetic Works of Seiichi Igarashi