『 星霜 』 作詩:五十嵐精一
波が去っていって
月が消えてしまって
風が迎えにくるから
私はただ古い町はずれの
港に来てしまう
淋しい影を連れて
私は海風が吹く
この港の町で暮らしている
この町に冬が来る前に
港にわかれを告げて
この町を離れ旅に出なくては
年月が早く過ぎてゆくから
何度も心を入れ替えて
出直そうと思っていたのに
もう冬になってしまった
私は古い町はずれの港で
今ひとり佇み 泣いている
波が去っていって
月が消えてしまって
風が迎えにくるから
1977年作品
The Poetic Works of Seiichi Igarashi