『 秋の漂い 』
作詩:五十嵐精一
うす紫の夜明けが窓を染めて
陽射しはすこしずつ傾き
髪のあいだを抜ける風のように
時の流れようははやく
淡く咲くコスモスみたいに
君も少しずつ秋に溶けてゆく
忘れ去る夢のように
遠く夏はとおざかり
海に夕凪が訪れる頃には
浜辺の砂も冷えている
秋は淋しいと思う
そしてまた考えてしまう
時を優しく包む愛があれば
ふたりは今日を大切に暮らすことが出来る
街では夏のなごりも消え
すっかり秋に飾られてしまった
1979年作品
The Poetic Works of Seiichi Igarashi