No.4 『 秋の漂い  』

kneedrop22009-09-15

『 秋の漂い 』
    作詩:五十嵐精一

         

うす紫の夜明けが窓を染めて
陽射しはすこしずつ傾き


髪のあいだを抜ける風のように
時の流れようははやく
淡く咲くコスモスみたいに
君も少しずつ秋に溶けてゆく


忘れ去る夢のように
遠く夏はとおざかり
海に夕凪が訪れる頃には
浜辺の砂も冷えている


秋は淋しいと思う
そしてまた考えてしまう
時を優しく包む愛があれば
ふたりは今日を大切に暮らすことが出来る


街では夏のなごりも消え
すっかり秋に飾られてしまった
                           1979年作品





The Poetic Works of Seiichi Igarashi