No.84 吠える街(Bark Town)

kneedrop22012-12-06

『 吠える街(Bark Town) 』           
    作詩:五十嵐精一


夜明け前のハイウェイに
無数のライトが連なる
今では決して揺れることなく
波は都会に届かない


幾度も壁は塗り替えられて
吠えてる街はRhythmを刻む
足を踏み外したら最後で
今では決して還ることなく
日陰で暮らす毎日
午後の騒音に悩もうともせず
心を街に吸いとられている


夕暮れに透明にちかい雨が
灰色の空から散ってくる
今では決して忘れることなく
心は今だ繕えない


幾度もビルの谷間に向かって
大声で叫んでみても響かない
静けさをとうに忘れている街だから
今では決して嫌うことなく
流れにまかす毎日
吠えてる人は都会を好む
誰ひとり似合わないのに

         1979年作品




The Poetic Works of Seiichi Igarashi