No.51 『 揺れた 男心 』

kneedrop22010-06-23

『 揺れた 男心 』 
      作詩:五十嵐精一

             
港はずれの海岸に 
二羽のカモメが わかれてゆくところ
夏先の海に雨が降り 白い霧がかかる


君はサンダル片手に 白い波と戯れ
少し哀しげに見える 
髪から雫が落ちる
                 

今 二人きりでこの霧雨の中 
逢えてうれしかった
でも君は来月 俺の知らない男性(ひと)の
ところに嫁ぐ


町もこれだけ姿を変えたから
会えなかった三年間
君の心も変わって しまったと想ってた


こころのなかで 淡く愛が滲む 
たがいに二人 分かち合ったとしても
今日は最後の日


今 二人きりでこの霧雨の中
もう遅すぎる 俺の心のページから
君はやがて消えてゆく


二人の心を離れさせたのは
周りの人たちと仕事だった


二羽のカモメも雲に包まれた
砂浜についた二人の足跡は
波がゆっくり消してくれる

                            1978年作品




















































The Poetic Works of Seiichi Igarashi