No.93『 唄をひきずって(Song Drag ) 』

kneedrop22013-06-04

『 唄をひきずって
    (Song Drag )』
    作詩:五十嵐精一

 
俺の唇に似合うタバコと
バーボンをかかえて
俺はまだ生きてる
安い宿を探しては
部屋をわたり歩く


左曲がった路地に
闇は待っていて
そこで俺は影を落とす
場末のライブハウスが
俺の住み処さ


俺はひとり部屋を出て
唄をひきずって
今日も唄う



安いギターケースは疲れ果て
ジーンズの右ひざは
昨日でぬけてしまった
春には暑いセータの袖も
伸びきっている


部屋の壁にかかる
一輪挿しには
綺麗な野花を飾り
唄に賭けた人生だけが
俺の味方さ


俺はひとり部屋に戻り
唄をひきずって
明日を生きる
              
        1979年作品





















































The Poetic Works of Seiichi Igarashi